2018年の今日(6月16日)、1位を獲得した Post Malone(ポスト・マローン) feat. Ty Dolla $ign(タイ・ダラー・サイン) の “Psycho” を解説・和訳しました。
ラグジュアリーなライフスタイルが歌われている曲で、名声と信頼がテーマになっているスローテンポのトラップ。
ソングライターはポスト・マローンとタイ・ダラー・サイン、そしてポスト・マローンとは親友で、この曲の特徴とも言えるスローなビートを手掛けているルイス・ベルの3人。
各フレーズの最後で調子を取るような “ayy”(エイ)という掛け声が印象的なこの曲は、タイ・ダラー・サインにとっては(元カノのローレン・ジャウリギーが所属していた)フィフス・ハーモニーの “Work From Home”(2016年、最高位4位)にフィーチャーされて以来のトップ10で初の1位、ポスト・マローンにとっては “rockstar” に続く2曲目の1位獲得曲で、年間6位の大ヒットとなっています。
また、この曲の隠されたキーワードは、ポスト・マローンがタトゥーを入れるほどハマっているゲーム “Fallout” で、ビデオはこのゲームのオマージュになっている他、フックの “my AP goin’ psycho” は『俺のAP(オーデマ・ピゲ:高級腕時計)はサイコ(いかれている、ぶっ飛んでる)』という意味と『俺のAP(アクション・ポイント)はサイコ(ゲームのキャラクター)に与える』という意味のダブルミーニングになっているようです。
【リンク】
当時(2018/06/16)のチャート
ポスト・マローンのヒット曲
タイ・ダラー・サインのヒット曲
【和訳】
[Hook]
Damn, my AP goin’ psycho, lil’ mama bad like Michael
Can’t really trust nobody with all this jewelry on you
My roof look like a no-show, got diamonds by the boatload
Come with the Tony Romo for clowns and all the bozos
My AP goin’ psycho, lil’ mama bad like Michael
Can’t really trust nobody with all this jewelry on you
My roof look like a no-show, got diamonds by the boatload
Don’t act like you my friend when I’m rollin’ through my ends, though
俺のAPはサイコ
(意味1:俺のオーデマ・ピゲはぶっ飛んでる)
(意味2:俺のアクション・ポイントはサイコに与える)
リル・ママ(いい女)はマイケルみたいにバッド(イカしている)
宝石(お金)目当てのヤツらは信用できねえ
山積みになったダイヤで天井は見えない
盗もうとするヤツらは全員 トニー・モロが迎え撃つ
(トニー・モロはポスト・マローンが好きなアメフトのクォーターバックで背番号9。ポスト・マローンは車に9mm拳銃を携帯している)
俺のAPはサイコ
リル・ママ(いい女)はマイケルみたいにバッド(イカしている)
山積みになったダイヤで天井は見えない
俺がうろついていても友達ヅラするな
[Verse 1]
You stuck in the friend zone, I tell that four-five the fifth, ayy
Hunnid bands inside my shorts, DeChino the shit, ayy
Try to stuff it all in, but it don’t even fit, ayy
Know that I been with the shits ever since a jit, ayy
I made my first million, I’m like, “Shit, this is it,” ayy
30 for a walkthrough, man, we had that bitch lit, ayy
Had so many bottles, gave ugly girl a sip
Out the window of the Benzo, we get seen in the rent’
And I’m like “Whoa, man, my neck so goddamn cold”
Diamonds wet, my t-shirt soaked
I got homies, let it go, oh
My money thick, won’t ever fold
She said, “Can I have some to hold?”
And I can’t ever tell you no
お前はフレンド・ゾーンに入ってくる
(より親密になろうとする)
寄ってくるヤツは4人、5人と増えてくるが 俺は無視する
(”fifth” は黙秘権などを認めた米国憲法修正第5条のことで、「無視する」の意味)
俺のパンツには100ドル札の束が入っている
デチーノが履いてたあのパンツに
(レオン・デチーノはポスト・マローンの昔のキャラクター)
ポケットに押し込もうとしても 収まらない
こうなることはガキの頃からわかってた
初めて100万ドル稼いだときは「これだ!」って感じ
(クラブから受けるオファーは)『登場して頂くだけで3万ドル。どうですか?女も少し付けます』
ボトルが多すぎて ブサイクな女にも飲ませてやった
ベンツの窓から見える景色が(俺の)家賃
俺は「ウォー、首が寒くて仕方ないぜ」って感じ
(首にアイス(ジュエリー)を巻いているので)
ダイヤが溶けて
(ジュエリーは通称アイス(氷) ⇒ アイスは溶ける ⇒ ダイヤをたくさん着けていると濡れる)
Tシャツはびしょ濡れ
俺には仲間がいて いつでも臨戦態勢
札束は厚すぎて 折り曲げられない
彼女が「少し持とうか」って言うんで
俺はノーとは言えない
(ポーカー用語の “fold” と “hold” を掛けている?)
[Hook]
[Verse 2: Ty Dolla $ign]
The AP goin’ psycho, my Rollie goin’ brazy
I’m hittin’ lil’ mama, she wanna have my babies
It’s fifty on the pinky, chain so stanky
You should see the whip, promise I can take yo’ bitch
Dolla ridin’ in an old school Chevy, it’s a drop top
Boolin’ with a thot-thot, she gon’ give me top-top
Just one switch, I can make the ass drop (Hey)
Ayy, take you to the smoke shop
We gon’ get high, ayy, we gon’ hit Rodeo
Dial up Valentino, we gon’ hit Pico
Take you where I’m from, take you to the slums
This ain’t happen overnight, no, these diamonds real bright
Saint Laurent jeans, still in my Vans though
All VVS’, put you in a necklace
Girl, you look beautiful tonight
Stars on the roof, they matching with the jewelry
APはサイコ 俺のロレックスも狂ってる
俺はいい女とヤル 彼女は俺の子供との欲しがってるんだ
小指(の指輪)は50,000ドル
チェーンは匂う
(ずっと前から着けているという意味?)
車を見てみな お前の女は俺に乗り換えるぜ
俺はクラシックのシボレーに乗っている オープンカーだ
商売女と楽しむ 彼女は口でしてくれる
スイッチひとつで ケツが下りてくる
(drop top「オープンカー」、top-top「 オーラルセックス」、ass drop「ケツが下りてくる」を掛けている)
スモーク(マリファナ)ショップに連れて行ってやる
ハイになって
ロデオ(・ドライブ)に出て
ヴァレンチノ(高級イタリアン・レストラン)に電話して
ピコ(ヴァレンチノがある大通り)に出る
それから俺の地元、スラムに連れて行ってやる
一夜で起こったことじゃない
このダイヤは本物の輝きを持っている
サンローランのジーンズに
いまだにヴァンを履いている
すべてのダイヤをお前のネックレスにしてやる
ガール、今夜の君は美しい
屋根の上の星はそのジュエリーと似合っている
[Hook]
【ビルボード Hot 100 トップ10解説より】
2018/08/04付
今週も変わらずでトップ10をキープ。
トップ10滞在週はこれでビルボード史上66曲目となる21週となっています。
2018/07/28付
こちらも変わらずでトップ10をキープ。
トップ10滞在週はこれでビルボード史上83曲目となる20週となっています。
2018/07/21付
3ランクアップでトップ10復帰。
先日(6/28)開催されたハリウッド・ボウルでのライブが好評だったポスト・マローン。そのライブではレイ・シュリマーのスワエ・リー、YG、ミゲル、21サヴェージ、ミーゴスのクエヴォなど豪華なゲストを次々に登場させて観客を驚かせたましたが、タイ・ダラー・サインは不在でこの曲は一人でパフォーマンスしています。
2018/07/07付
こちらもワンランクアップでトップ5復帰。
これでポスト・マローンの連続トップ10滞在は41週目。この曲も18週目のトップ10(うち、トップ5が17週)となり、今後の動向次第では年間チャートで自身の “rockstar”(今集計年度ではトップ5滞在18週)といい勝負になるかもしれません。
2018/06/30付
4ランクダウンでトップ5から陥落。
ポスト・マローンは “rockstar” とこの曲で40週連続となるトップ10滞在。これはジャネット・ジャクソン、リュダクリスと並ぶビルボード史上12位の記録ですが、10位以内(あと2週で達成)は射程圏内だと思われます。
2018/06/23付
1週でトップの座から陥落。
スローなビートとやや幻想的なメロディが共通していることから「控えめな “rockstar”」とも言われているこの曲、トップ10滞在もこれで16週(4か月)となり、ポスト・マローンは年間チャートで “rockstar” と共に2曲トップ10入りという可能性が高まってきています。
2018/06/16付
ポスト・マローンは2曲目、タイ・ダラー・サインは初の1位獲得。
主要3チャートでは無冠(セールスとラジオは2位、ストリーミングは10位)ながらトップ10滞在15週目(すべて5位以内)にしてついにナンバーワン。先週、目の下に “Always Tired”(いつも疲れている)とタトゥを入れたポスト・マローンのこの曲、チャートポイントはかなり低いようで、特にストリーミングが10位で1位を獲得した曲としてはファレル・ウィリアムスの “Happy” 以来となっています。
2018/06/09付
値下げ効果でセールスを制して再び最高位復帰。
ペアレント・アルバム “Beerbongs & Bentleys” のリリース時にはその効果でこの曲を筆頭にアルバム全曲がHot 100入り、J.コールのアルバム・リリース時と同様、チャートが荒れる展開になりましたが、ビルボードは今後、ストリーミングの種類を細分化すると発表。オーディオでのストリーミングでは今まで1500回で1枚のセールスとカウントされていましたが、有料定額サービスの会員は1250回で、広告入り無料サービスだと3750回で1枚とカウントされるそうです。
2018/06/02付
こちらも変わらず。
iTunesではこのタイミングで値下げ。ちなみに今年2月のリリース時にはポスト・マローンの公式ウェブサイトで「サイコな商品」(シャツ)も同時に発売されていますが、こちらは50ドルから値下げされていないようです。
2018/05/26付
こちらも変わらず。
ポスト・マローン、タイ・ダラー・サインとともにソングライターとしてクレジットされているレコード・プロデューサーで、ポスト・マローンとは親友でもあるというルイス・ベル、この曲の特徴とも言えるスローなビートは彼が手がけたものだそうです。
2018/05/19付
2ランクダウンでトップ3から3度目の陥落。
曲の長さや放送禁止用語の関係で短縮版やクリーン版の放送が基本となるラジオでトップ10入り。ポスト・マローン、タイ・ダラー・サインともに不利(苦手)とされる同チャートで2曲目のトップ10となっています。
2018/05/12付
9週間ぶりに最高位復帰。
1日のストリーミング数の記録を更新し、アルバムチャートで初登場1位となった “Beerbongs & Bentleys” のリリース効果で再上昇。Spotifyでは今週、再生回数の上位20曲のうち同アルバムに収録されている曲が16曲(上位10曲では7位以外の9曲)。その中でもこの曲は “Better Now” に次いで2番目に多くストリーミングされていますが、恐らく今週がピークだと思われます。
2018/05/05付
こちらもワンランクダウン。
しかしながら、4月27日にリリースされたペアレント・アルバム “Beerbongs & Bentleys” が絶好調。1日のストリーミング回数の記録を更新しており、来週はその効果で再上昇が期待できそうです。
2018/04/28付
こちらも変わらず。
初登場した2位が最高位で、その後トップ5はキープしているものの行き詰まり感は否めないこの曲、4月27日にリリースされるペアレント・アルバム “Beerbongs & Bentleys” がカンフル剤になることが期待されます。
2018/04/21付
こちらもワンランクダウンでトップ3から陥落。
4/14にコーチェラ(カリフォルニアの砂漠地帯、コーチェラ・ヴァレーで毎年開催されている世界最大級の野外音楽フェス)デビューしたポスト・マローン。ステージに立つと間髪入れずこの曲をパフォーマンス、途中からはサプライズでタイ・ダラー・サインも登場して会場を盛り上げています。
2018/04/14付
ワンランクアップでトップ3復帰。
フジロックで初来日することが決まったポスト・マローン、この曲のビデオは戦車を乗り回し、凶暴な動物「クズリ」を火炎放射器で退治するという過激な内容になっていますが、実生活でも家のウォークインクローゼットには息を呑むほどの大量の武器がストックされているそうで、日本で何もやらかさないか、若干気になります。
2018/04/07付
ビデオのリリース効果もあってワンランクアップ。
3/23にビデオがリリースされたこの曲、そのビデオでは戦車に乗ったポスト・マローンが小さな悪魔と呼ばれる凶暴な動物「クズリ」を退治するという内容になっています。
2018/03/31付
変わらずトップ5をキープ。
活動休止を発表したフィフス・ハーモニーのローレン・ジャウリギーとの交際でも注目を集めているタイ・ダラー・サインがヴァース2を担当しているこの曲、そのヴァース2では『俺たちはハイになって、ロデオ(・ドライブ:L.A.の高級ショッピング街)に出て、ヴァレンチノ(高級イタリアン・レストラン)に電話して、ピコ(ヴァレンチノがある大通り)に出る』とラップされています。
2018/03/24付
ワンランクダウン。
ヴァース1の各フレーズの最後で調子を取るような “ayy”(エイ)という掛け声が印象的なこの曲、そのヴァース1では『100ドル札の束が俺のパンツには入っている。(ポスト・マローンの昔のキャラクターのレオン・)デチーノが履いてたあのパンツに、エイ!』とラップされています。
2018/03/17付
2ランクダウンでトップ3から陥落。
ヴァース1では『お前はフレンド・ゾーンに入ってくる。俺は “four-five, fifth” と告げる』とラップされているこの曲、これは「俺に寄ってくるヤツは知り合いの知り合いみたいな感じで4人、5人と増えてくる」、そして、”fifth” は米国憲法修正第5条(黙秘権などを認めた条項)のことで「俺は無視する」というような意味だと思われます。
2018/03/10付
ポスト・マローンは3曲目、タイ・ダラー・サインは2曲目のトップ10。
ポスト・マローンのラグジュアリーなライフスタイルが歌われている曲で、名声と信頼がテーマになっているスローテンポのトラップ。フックでは『俺のAP(高級腕時計のオーデマ・ピゲのこと?)はサイコ。リル・ママはマイケルみたいにバッド』と歌われています。