2016/09/24付 ビルボード Hot 100 トップ10解説
1位 (先週1位、最高位1位)
The Chainsmokers(チェインスモーカーズ) feat. Halsey(ホールジー) – Closer
今週も主要部門2冠で4週目の1位。
ソングライターとしてザ・フレイのリード・シンガー、アイザック・スレイドとギタリストのジョー・キングの名前が9月2日から追加されたこの曲、以前から噂になっていた彼らの “Over My Head (Cable Car)” (2006年、最高位8位)との類似性を認める形になっていますが、チェインスモーカーズの二人は今のところノーコメントを通しているようです。
【解説・和訳】Closer / チェインスモーカーズ feat. ホールジー
2位 (先週3位、最高位2位)
Twenty One Pilots(トゥエンティ・ワン・パイロッツ) – Heathens
ワンランクアップで最高位更新。
VMAsではベスト・ロック・ビデオに選ばれたこの曲のビデオ、再生回数は前作の “Ride” を早くも抜いて2億回に達しています。
※デュオによる1位2位独占は1985/06/08にティアーズ・フォー・フィアーズの “Everybody Wants To Rule The World” が1位、ワム!の “Everything She Wants” が2位になって以来、約31年ぶり
3位 (先週2位、最高位2位)
Major Lazer(メジャー・レイザー) feat. Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー) & MØ(ムー) – Cold Water
ワンランクダウン。
iTunesで0.69ドルに値下げ(通常は1.29ドル)という「奥の手」に加えてリミックス版がリリースされたこの曲、その効果は今週(デジタルは前週比4%アップ)と来週に分散するため、この裏技での1位獲得は難しいと思われます。
【解説・和訳】Cold Water / メジャー・レイザー ft. ジャスティン・ビーバー & ムー
Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー) – ヒット曲ベスト20
4位 (先週4位、最高位1位)
Sia(シーア) feat. Sean Paul(ショーン・ポール) – Cheap Thrills
今週もラジオを制して4位変わらず。
シーアの声の大ファンだというショーン・ポール、この曲については『凄いサウンドでフックやメロディもいい』そうですが、『彼女の声はオレの母親も大好きだし、広い世代に好まれている』とも語っており、やはり一番のお気に入りは彼女のヴォーカルのようです。
【解説・和訳】Cheap Thrills / シーア feat. ショーン・ポール
5位 (先週5位、最高位3位)
The Chainsmokers(ザ・チェインスモーカーズ) feat. Daya(デイア) – Don’t Let Me Down
変わらずトップ5をキープ。
そろそろトップ10陥落かと思いきや、先週は2ランクアップでちょっとしたサプライズだったこの曲、アッシャーがカヴァーしたことが追い風になっているようです。
6位 (先週7位、最高位5位)
Twenty One Pilots(トゥエンティ・ワン・パイロッツ) – Ride
再上昇でワンランクアップ。
シリアスで重いリリックをレゲエの軽いリズムに乗せつつ、強弱(強:フック、弱:ブリッジ)と緩急(緩:メリスマ、急:ラップ)も効かせてあるこの曲、ビデオでは暗転と明転が繰り返されており、全体的に「対称」が意識された作りになっていると思います。
7位 (先週6位、最高位3位)
Calvin Harris(カルヴィン・ハリス) feat. Rihanna(リアーナ) – This Is What You Came For
ワンランクダウン。
カルヴィン・ハリスとは “We Found Love”、”Where Have You Been” に続いて3回目のコラボとなったこの曲、リアーナのヒットランキングでは彼女のベスト・コラボという声も多いブリトニー・スピアーズと組んだ “S&M” を抜いて14位まで上昇しています。
リアーナ – ヒット曲ベスト20 (更新)
8位 (先週11位、最高位8位)
Adele(アデル) – Send My Love (To Your New Lover)
3ランクアップでトップ10復帰。
2度目のトップ10復帰で最高位を更新したこの曲、これはニック・ジョナスの “Jealous” 以来の記録となっています。
9位 (先週10位、最高位7位)
Rihanna(リアーナ) – Needed Me
ワンランクアップ。
これで16週目のトップ10。最高位7位でこの記録はビルボード史上初。ちなみに最高位6位でも16週以上トップ10に滞在した曲はありません。
Charlie Puth(チャーリー・プース) feat. Selena Gomez(セレーナ・ゴメス) – We Don’t Talk Anymore
チャーリー・プースは2曲目、セレーナ・ゴメスは6曲目となるトップ10。
チャーリー・プースが東京のラグジュアリー・ホテル、マンダリン・オリエンタル東京の最上階に滞在中に書いた曲で、友人の破局がきっかけで出来たという失恋ソング。隣の部屋にいたギタリストを呼んで演奏してもらったものをiPhoneに録音し、翌日フィリピンでドラムの音を入れて完成させたそうです。
トップ10圏外ではトップ10連続滞在が51週で途切れたドレイクの “One Dance” が11位、DJ・スネーク feat. ジャスティン・ビーバーの “Let Me Love You” が再上昇で13位→12位、D.R.A.M. feat. リル・ヤッチーの “Broccoli” が18位→14位、アリアナ・グランデ feat. ニッキー・ミナージュの “Side To Side” が31位→18位などとなっています。
以上、最新のチャートでした。
コメント
こういうルールがあったのは初耳でした。
それならRadioactiveやSail、El Pardonは特殊だったんですね。
「チャートポイントが上昇している場合を除き」なので…
ならば、最近52週で、圏外になった、See You Again、Trap Queen、Stitches、Stressed Outは、そういうことだったんですね。
そのとおりです。
丁寧な回答ありがとうございます。
ストリーミングやオンデマンドを対象とする事は,
10年以上前に見たBSの「ビルボードNo.1特集番組」(MC赤坂泰彦)で当時の編集長が
インタビューで語っていたので有言実行だなと感心していました。
この点はオリコンも見習って欲しいと思っています。
でも何かこのリカレントルールは納得いかないですね。
チャートのリフレッシュと言えば聞こえはいいですが,
古くて力のある曲がチャートに居座り続ける事の何がいけないのか理解できません。
チャートに入りやすいというのは,確かに新しいアーティストに有利なルールですが,
入れ替わりが激しすぎると今の日本のように,
印象にも残らない一発屋が濫造されそうで何だかな~と思ってしまいます。
HOT100はすなわち、アメリカでデバイス(CD、ラジオ、ケータイ、PCなど)を問わず最も聴かれている曲のランキングというのは25位までに限ったこと、ということになりますね。
Twenty One Pilotsが2位まで来ましたか。
今度こそは1位を取って欲しいのですが,やっぱり難しいでしょうか?
去年から51?52?週を越えてランクインした曲は25位だかを下回ると
強制的にTOP100圏外に落とされるというルールが出来たとニコ動で見たのですが,
本当ですか?あと,そんなルールが出来たのって,やっぱり理由があるんですか?
1位とは大差(デジタルとストリーミングはダブルスコア)なので少なくとも来週の1位獲得はないと思います。
ビルボードのルールですが、チャートポイントが上昇している場合を除き、52週(1年)を超えると26位以下の曲はHOT100から消えます。
また、同じ条件付きで21週目以降に50位未満になってもチャートから消えます。
前者は今集計年度(昨年の12月から)適用されたルールで後者は以前からあるルールです。
これらは新旧リカレントルールと呼ばれており、目的はチャートのリフレッシュのためだそうです。
個人的には、時代の変化にあわせて集計方法(ストリーミングやオンデマンドも対象にするなど)やウェイト(売上重視かラジオ重視かなど)を変えることは妥当だと思いますが、上記のルールはビルボードのさじ加減による「チャート操作」で、自らチャートの権威を失墜させるものだと感じています。