1993年の今日(11月6日)、1位を獲得した Meat Loaf(ミート・ローフ)の “I’d Do Anything For Love (But I Won’t Do That)” について解説しました。
愛のためなら何でもするという決意表明のような曲で、ピアノとクレシェンド(だんだん強くなる)のサウンドが印象的なプログレッシブ・ロック。
ソングライターは、ボニー・タイラーの “Total Eclipse Of The Heart”(1983年、最高位1位)、エアー・サプライの “Making Love Out Of Nothing At All”(1983年、最高位2位)、セリーヌ・ディオンの “It’s All Coming Back To Me Now”(1996年、最高位2位)なども手掛けているジム・スタインマン。
ビートルズの “Hey Jude” を上回り、曲の長さ(※主要チャートの一つであるラジオで流されたバージョンが基準。ラジオ編集版ではないので注意)としては7:58でビルボード史上最長のナンバーワン・ソングとなったこの曲は、評論家たちには「鼻つまみ(臭い)ソング」としてこの年のワースト、オールタイムでもワースト50に選ばれるという酷評を受けた一方で、イギリスではこの年のベストセラー・シングルとなり、グラミーではベスト・ロック・ヴォーカル・パフォーマンス(ソロ)を受賞しています。
冒頭では、
俺は愛のためなら何でもする
地獄に行っても戻って来る
俺は愛のためなら何でもする
決して君にウソはつかない 誓う
君の気持ちを決して忘れない
俺は愛のためなら何でもする
でもそれはしないんだ
と歌われており、サブタイトルにもなっている “But I won’t do that”(でもそれはしないんだ) の “that” が何を指しているかが話題になりましたが、ミート・ローフ本人は『それぞれのヴァースで愛のためにすることを2つ、そしてしないことを1つ挙げてるけど、”that” はしないことを強調しているだけ』と語っています。(つまり、「君の気持ちを忘れることをしない」という意味)
ちなみに、この曲のビデオの監督はもともとデヴィッド・フィンチャーに依頼する予定だったそうですが、予算として170万ドルを要求されたためあきらめ、75万ドルで受けてくれたマイケル・ベイ監督に依頼したそうです。
コメント
ボニー・タイラーの “Total Eclipse Of The Heart”(1983年、最高位1位
エアー・サプライの “Making Love Out Of Nothing At All”(1983年、最高位2位)
丁度,同じ時期に1位を争っていた楽曲ですよね。
しかも書いている人が同じ人とは・・・。
さらに,どちらも詞やPVの内容が大げさだったのを覚えています。
またボニー・タイラーの方は全く意味が分からないPVでした。
良く言えば壮大でひねりが効いている、悪く言えば大げさで回りくどい、ジム・スタインマンの特徴のような気がします。
ビルボード最長の1位ってDon McleanのAmerican Pieなのでは?
違ってたらすいません
それと前から気になっていたんですが、この曲の途中に歌っている女性って誰でしょうか?
“American Pie” については前の方のコメントに返信しているとおりです。
女性に関しては “Mrs. Loud” とクレジットされていましたが、後にLorraine Crosbyという人であるということが判明しています。本文に記載しようかなとも思ったのですが、ほとんど知られていない人なのでやめました。
分かりました。返信ありがとうございます
愛にすべてを捧ぐ
この曲のシングルヴァージョンは確か5分14秒だったような…
史上最長ソングはドン・マクリーンのアレぢゃなかったっけ?
HOT100はラジオでの放送回数がチャートポイントの大きな構成要素となっているため、ビルボードとしてはラジオで流されていた7:58のラジオ・ミックス・ヴァージョンがこの曲の長さということになっているのだと思います。
また、ドン・マクリーンの “American Pie” のシングル・ヴァージョンは(ビルボードの扱いとしては)Part1とPart2に分かれているようです。
最近購読者に入れて頂いた初老の音楽家です。93年の頃はMidi全盛でMacとPerformerにかじり付いておりPOPS/ヒット・チャートについてサボっていましたので、ミスター洋楽様の今回の記事は知識の空欄を埋めて頂き有難うございました。今回の楽曲ではテンポチェンジが非常にスムースでMacを導入したのかな?って感じがします。Queenのボヘンミアン・ラプソディーみたいな完全アナログの奇跡的なテンポ&リズムチェンジは感じませんが美しく無理なくまとまっていると思いました。
購読に加えて非常に参考になるコメントまで頂けて光栄です。
進歩する技術と共に音楽も進化・変化していることを感じさせられます。
今後ともよろしくお願いいたします。