2019/05/04付 ビルボード Hot 100 トップ10解説
1位 (先週1位、最高位1位)
Lil Nas X(リル・ナズ・X) feat. Billy Ray Cyrus(ビリー・レイ・サイラス) – Old Town Road
今週も圧倒的な強さでセールスとストリーミングを制して4週目の1位。
早くも年間1位候補と言われているものの、来週はテイラー・スウィフトの “ME!”(今週100位)にトップの座を奪われるかもしれないこの曲、フックでは『誰も俺には何も言えない』と歌われていますが、これはリル・ナズ・Xによると(快楽&物質主義の生活を捨てて)カウボーイの生活を送るなんて出来ないって言う人たちに向けた「何も言わせない」という意味と、純粋なカウボーイが自分のスタイルについて「文句言うヤツはいない」という意味の「ダブル・ミーニング」だそうで、カニエ・ウェスト(の “Can’t Tell Me Nothing” の歌詞)とは関係ないそうです。
2位 (先週2位、最高位2位)
Post Malone(ポスト・マローン) – Wow.
変わらず最高位をキープ。
トップ10滞在はこれで15週となったこの曲、ヴァース2に『これは40じゃないが、こいつを注いでやる』というフレーズが出てきますが、一般的に死者を弔う際には40オンスの瓶に入ったリーズナブルなお酒をお墓に注ぐところ、ポスト・マローンの場合は(彼の成功を信じていなかった奴らを死者に見立てて?)『俺が飲んでいる高級酒を注いでやる』という意味だと思います。
3位 (先週3位、最高位1位)
Post Malone(ポスト・マローン) & Swae Lee(スワエ・リー) – Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)
今週もトップ3をキープ。
1週しか1位を獲得していない曲としてはトップ10滞在週がアウトキャスト ft. スリーピー・ブラウンの “The Way You Move”(2004年)など5曲と並んで4位タイの21週となったこの曲、Hot 100(10位以内)の順位をもとにスコア化したオールタイム・チャートではアッシャーの “U Got It Bad”(2001年、最高位1位)と並び79位→58位に上昇しています。
4位 (先週4位、最高位1位)
Ariana Grande(アリアナ・グランデ) – 7 rings
4位変わらず。
コーチェラ出演のギャラは約8億円(通常、同フェスでのヘッドライナーのギャラは3億~5億円)だったことが明らかになったアリアナ・グランデのこの曲、ビルボード誌では『ヴァースでのアリアナのヴォーカル・スタイルはほとんどラップで、彼女が最もヒップホップに傾倒した曲』と評されています。
Ariana Grande(アリアナ・グランデ) – ヒット曲ベスト20
5位 (先週6位、最高位1位)
Jonas Brothers(ジョナス・ブラザーズ) – Sucker
今週もラジオを制してトップ5復帰。
ビルボードの新企画(ビデオシリーズ)”My Billboard Moment” に出演したジョナス・ブラザーズ。その中でニック・ジョナスは『この曲をリリースする際、実は1位獲得の可能性について兄弟で話したんだけど、そういう希望は持たないことにした』そうで、でも1位を獲得した時は『誰かをハグしたい気持ちになった』と語っています。
6位 (先週5位、最高位1位)
Halsey(ホールジー) – Without Me
ワンランクダウンでついにトップ5から陥落。
「女の恨み節」とも言われているこの曲、トップ10滞在はこれでビルボード史上14曲目の26週、そしてHot 100(10位以内)の順位をもとにスコア化したオールタイム・チャートではチャビー・チェッカーの “The Twist”(1960年、最高位1位)とエド・シーラン duet with ビヨンセの “Perfect”(2017年、最高位1位)を抜いて15位→13位に上昇しています。
7位 (先週7位、最高位7位)
Sam Smith(サム・スミス) & Normani(ノーマニ) – Dancing With A Stranger
変わらず最高位をキープ。
テーマ(失恋ネタ)は相変わらずですが、今までのようなダークな感じはなく、ポップでややR&B風に仕上げられているこの曲、某評論家には『誰か知らない人でもいいからダンスをして失恋を忘れたいという「発情ソング」』と評されていますが、個人的にはサム・スミスらしい良い曲だと思います。
8位 (先週20位、最高位8位)
Khalid(カリード) – Talk
カリードは5曲目のトップ10。
彼女と恋の足並みがそろわないことを気にした男性が『ここでちょっと先のことを話し合おう。僕はこれくらい君のことが好きだよ』という曲。
9位 (先週9位、最高位7位)
Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ) – bad guy
9位変わらず。
ビリー・アイリッシュの兄でこの曲のソングライター兼プロデューサーでもあるフィニアスによると、『この曲を完成させた時、アルバムはヘビーでダークになると確信した。でもその中にユーモアがあるものにすることも決めていた』そうですが、特にこの曲には(ビデオにも)ユーモアというか皮肉のようなものが織り込まれているような気がします。(フックの『あなたってタフな男ね』という部分など)
10位 (先週11位、最高位4位)
J. Cole(J・コール) – MIDDLE CHILD
ワンランクアップでトップ10復帰。
ポスト・マローンの “Better Now” 以来、2度目のトップ10復帰でトップ10滞在はこれで10週となったこの曲、世代間のブリッジ(橋渡し)役であることへの葛藤のようなものがラップされていますが、曲の構成的にはブリッジ(フックとフックの橋渡し)はありません。
以上、最新のトップ10紹介でした。