2023/01/14付 ビルボード Hot 100 トップ10解説
1位 (先週8位、最高位1位)
Taylor Swift(テイラー・スウィフト) – Anti-Hero
セールスとラジオを制して1位返り咲き。
ブリッジ(※1)の直後のサビはブレイクダウン(※2)し、その後また通常のサビを繰り返して終わるという構成になっているこの曲、クリスマス・ソングの隆盛期間はブレイクダウンし、また1位に復帰するというチャートアクションでトータル7週目の1位となり、テイラー・スウィフトのヒット曲ランキングでは “I Don’t Wanna Live Forever”(2017年、最高位2位)を抜いて7位に上昇しています。
(※1:サビとサビの橋渡しをするヴァースとは違う新しいメロディ)
(※2:極端にテンポを落としたり単一の楽器のみで演奏すること)
【解説・和訳】 Anti-Hero / テイラー・スウィフト
Taylor Swift(テイラー・スウィフト) – ヒット曲ベスト20(更新)
2位 (先週10位、最高位1位)
Sam Smith(サム・スミス) & Kim Petras(キム・ペトラス) – Unholy
8ランクアップ。
人を喜ばせることをやめ自分の幸せを優先するという「ヴィラン(悪役)時代の始まりの宣言」とも評されているこの曲、サム・スミスの出演が決定した21日放送の人気バラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」でパフォーマンスされればその効果が期待できそうですが、反映されるのは3週間後(2/4付)となるため1位返り咲きの原動力になるかどうかは微妙だと思われます。
3位 (先週11位、最高位3位)
SZA(シザ) – Kill Bill
ストリーミングを制して8ランクアップでトップ10&最高位復帰。
シザは『これは私のヴィラン(悪役)時代。非常に快適』とコメントし、評論家には暴力的な感情をフィルタリングせず率直に探究していると評価されているこの曲、シザが映画「キル・ビル」に出てくる(元恋人のビルに復讐する)キドーに扮しているオフィシャル・ビデオはまだ準備中のようですが、タイミングよくリリースされれば1位獲得もあるかもしれません。
4位 (先週19位、最高位4位)
David Guetta(デヴィッド・ゲッタ) & Bebe Rexha(ビービー・レクサ) – I’m Good (Blue)
15ランクアップでトップ10復帰&最高位更新。
2月5日に開催されるグラミー賞ではベスト・ダンス/エレクトロニック・レコーディングにノミネートされているこの曲、「多幸感のあるピアノのコードとスリリングなダンスフロアのエネルギーを組み合わせたエモーショナルなクラブ・ヒット」というまさに同賞にふさわしい評価を受けており、ファンの間では受賞の期待が高まっているようです。
5位 (先週7位、最高位2位)
Drake(ドレイク) & 21 Savatge(21サヴェージ) – Rich Flex
16ランクアップで4週ぶりのトップ10復帰。
2022年は年間最多トップ10滞在(43週)アーティストとなったドレイク。2部構成になっているこの曲のセグエ(次の曲に移るつなぎの部分)では、『そいつはスローター・ギャング・CEO。仕事中じゃなければ俺がファックできるが、俺が忙しくてお前のバンクアカウント(銀行口座)が底をついた時は他の誰かを探せ』とラップしていますが、「他の誰か」とは「スローター・ギャング」というレーベルのCEOで “Bank Account”(2017年、最高位12位)が出世作の21サヴェージのこと。
Drake(ドレイク) – ヒット曲ベスト20
6位 (先週22位、最高位5位)
Metro Boomin(メトロ・ブーミン), 21 Savage(21サヴェージ) & The Weeknd(ザ・ウィークエンド) – Creepin’
16ランクアップでこちらも4週ぶりのトップ10復帰。
TLCの “Creep”(1995年、最高位1位)のヒットが一つのきっかけになって「こっそり浮気する」という意味でよく使われるようになった言葉がタイトルになっているこの曲、フックでは『もし君がこっそり浮気しているのなら、バレないようにしてくれ。僕は知りたくないんだ』と歌われています。
The Weeknd(ザ・ウィークエンド) – ヒット曲ベスト20(更新)
7位 (先週31位、最高位1位)
Harry Stayles(ハリー・スタイルズ) – As It Was
セールスとラジオの伸び率1位で24ランクアップして6週ぶりのトップ10復帰。
アーハの “Take On Me”(1985年、最高位1位)の盗作ではないかという疑惑がある一方で、ゲスト・クレジットのない曲としては最長となる15週1位、イギリスのアーティストによる最長1位など数々の記録を打ち立て(年間1位は逃したものの)2022年を代表する曲の一つとして称賛もされているこの曲、これでトップ10滞在はトータル33週目で、トップ10滞在週ランキングでは6位タイとなっています。
8位 (先週26位、最高位8位)
The Weeknd(ザ・ウィークエンド) – Die For You
ザ・ウィークエンドは16曲目のトップ10。
リリースは2016年ながらTikTokで人気が徐々に復活したため約1年前にビデオが制作されたこの曲、ザ・ウィークエンドが交際していたスーパーモデルのベラ・ハディッドに向けた未練の曲と言われており、フックでは『僕たちの間の距離と時間が僕の気持ちを変えることはない。なぜなら、僕は君のために死ねるから』と歌われています。
The Weeknd(ザ・ウィークエンド) – ヒット曲ベスト20(更新)
9位 (先週30位、最高位1位)
Steve Lacy(スティーヴ・レイシー) – Bad Habit
21ランクアップで5週ぶりのトップ10復帰。
グラミーでは主要部門の最優秀レコードと最優秀楽曲の両賞にノミネートされており、ブックメーカーでは前者が10曲中5番人気の14倍(本命はアデルの “Easy On Me” で10倍)、後者は10曲中6番人気の14倍(本命は前者と同じ)となっているこの曲、トップ10の順位をもとにスコア化した一発ヒットランキングではオーミの “Cheerleader”(2015年、最高位1位)と並び今のところ12位となっています。
10位 (先週38位、最高位10位)
Beyonce(ビヨンセ) – CUFF IT
ビヨンセは21曲目のトップ10。
ビヨンセが夫のジェイ・Zとの親密な夜について歌った曲。タイトルの「カフ・イット」は「(手錠をかけて)他の誰ともデートさせない」というニュアンスの意味。フックでは『私たちは一晩中ファックする』と歌われています。
Beyonce(ビヨンセ) – ヒット曲ベスト20(更新)
以上、最新のトップ10紹介でした。