Roddy Ricch(ロディ・リッチ)の “The Box” を解説・和訳しました。
ストリートギャング・ライフとセックス・ライフを巧みに掛け合わせている曲で、バックグランドで終始鳴り響く”EEE ERR” というサウンドが印象的なラップ。
タイトルの「ザ・ボックス」とは表向きにはロディ・リッチがギャング時代に使用していた「着脱式ボックス・マシンガン」のことのようですが、スラングで「女性器」というエロい意味の部分は巧みにカムフラージュされています。
1位を継続するためにタイミングを計っていた感があるものの、表向きには「自分で監督したから」という理由で大幅にリリースが遅れたビデオは、ロディが歌詞に合わせてカーレーサー、バスケ選手、大統領などに扮し、最後は小さなガラスのボックスに入ってミュージアムに展示されるという内容になっています。
現在(2020/03/28付)まで11週連続1位、週間ストリーミング数ではリル・ナズ・X ft. ビリー・レイ・サイラスの “Old Town Road” 以来となる7,500万回超えを記録するなど、早くも年間1位の最有力候補と言われる大ヒットとなっています。
【和訳】
[Hook]
Pullin’ out the coupe at the lot
Told ‘em fuck 12, fuck SWAT
Bustin’ all the bales out the box
I just hit a lick with the box
Had to put the stick in the box, mmh
(パーキング)ロットからクーペ(車)を出す
(pullin’ outは「イク前に抜く」という避妊行為も意味する)
12(警察のこと:警察無線のコードが由来)にファックって言ってやった
ファック、スワット(警察の特殊部隊)
(「ファック」というワードでより前文がセクシャルな意味も持つことを印象付けている?)
ボックスの外にベール(圧縮した大麻)をぶちまける
(イク時は外にぶちまける)
(殺しは)ボックスをぶっ放すだけ
(あそこを舐めるだけ)
ボックスにスティック(詰め替え用の弾)を装着しないとな
(あそこに俺のスティックを突っ込まないとな)
Pour up the whole damn seal, I’ma get lazy
I got the mojo deals, we been trappin’ like the ’80s
She sucked a nigga soul, gotta Cash App
Told ‘em wipe a nigga nose, say slatt, slatt
I won’t never sell my soul, and I can back that
And I really wanna know where you at, at
シールは全部注ぎ込む、面倒だから
(※シール:鎮痛剤のコデインと咳止めシロップのプロメタジンの混合物=やばいクスリ)
(一滴残らず出す)
(ドラッグの)デカい取引をした、80年代みたいなデカい取引
(性交渉が成立した)
女は「黒人の魂」(男性器)をしゃぶってCash App(モバイル決済アプリ)を手にする
ぶっ殺すって言ってやった
(※wipe a nigga nose:ラッパーが頻繁に使用するスラングで「ぶっ殺す」)
笑顔と愛情をこめて
(※slattは”Smile Love All The Time”の略)
(イクって言ってやった、笑顔と愛情をこめて)
俺は「黒人の魂」は売らない、絶対に
(※黒人の魂を売る:ラッパーが転身すること)
(※男性シンボルとしての「黒人の魂」はしゃぶらせるが、ラッパーとしての「黒人の魂」は売らない)
知りたいんだ、お前がどこにいるのか
[Verse 1]
I was out back where the stash at
Cruise the city in a bulletproof Cadillac (Skrrt)
‘Cause I know these niggas after where the bag at (Yeah)
刑務所から戻ってきたが、隠していたモノはどこだ
防弾ガラスのキャデラックで街を駆け巡る
そのモノがどこに行ったか知っているヤツはわかっている
Gotta move smarter, gotta move harder
Nigga try to get me for my water
I’ll lay his ass down, on my son, on my daughter
賢くハードに立ち回る
ヤツらは俺のウォーター(やばいクスリ)を狙っている
何もさせない、俺の息子と娘(※俺の持ち物)に
I had the Draco with me, Dwayne Carter
Lotta niggas out here playin’, ain’t ballin’
俺にはドラコ(※1)がある、ドウェイン・カーター(※2)
(※1:マシンガン、ドレイクと発音が似ている)
(※2:マシンガンの不法所持で逮捕された&ドレイクを見い出したリル・ウェインの本名)
ここには貧困層の黒人だらけ
I done put my whole arm in the rim, Vince Carter (Yeah)
And I know probably get a key for the quarter
俺はリングに腕を突っ込む(ダンクシュートを決める)、ヴィンス・カーター(※)
(※肘までリングに突っ込むダンクが有名なバスケ選手)
このクォーターのキーになるぜ
Shawty barely seen in double C’s, I bought ‘em
Got a bitch that’s looking like Aaliyah, she a model
ほとんどいないダブルC(※シャネルのロゴ)を着けた女、俺が買ってやった
アリーヤみたいな女、彼女はモデル
I got the pink slip, all my whips is key-less
Compton, I’m about to get the key to the city
Patek like the sea, forget it
ピンクスリップ(※車の権利書)を手に入れた
俺の車はすべてキーレス
コンプトン(※)、俺はこの市のキーを手に入れる(名誉市民になる)
(※:ロディが育った貧困層が多く犯罪発生率が高いカリフォルニア州の都市)
海のようなパテック(高級腕時計)、忘れてくれ
[Hook]
[Verse 2]
Hahaha, I been movin’ ‘em out
If Steelo with me, then he got the blues in the pouch (Yeah)
ハハハ、ヤツらは追い払った
もしスティーロ(※ロディの昔の友達)が俺と一緒に居たら
彼のポーチには青帯(※100ドルの札束)が入っていただろう
Took her to the forest, put the wood in her mouth
Bitch, don’t wear no shoes in my house
The private I’m flyin’ in, I never wan’ fly again
I’ll take my chances in traffic (Yeah)
She suckin’ on dick, no hands with it
I just made the Rollie plain like a landing strip
彼女を森に連れて行って、口に「木」をぶち込む
ビッチ、俺の家では靴を脱げ
飛ぶときはプライベートジェット、(一般の)飛行機では二度と飛びたくない
チャンスはトラフィック(取引)で掴む
(セックスの機会はトラフィック(乗り物の中)で掴む)
彼女は手を使わずにしゃぶる
俺のロレックスは滑走路のようなプレーン
(※宝石なしの「平らな」という意味の”Plain”と飛行機の”plane”を掛けている)
I’m a 2020 president candidate
I done put a hundred bands on Zimmerman, shit
I been movin’ real gangster, so that’s why she picked a Crip
Shawty call me Crisco ‘cause I pop my shit
Got it out the mud, there’s nothin’ you can tell me, yeah
When I had the drugs, I was street wealthy, yeah
俺は2020年の大統領候補
ジマーマンに100ドルの札束(10万ドル)の懸賞金を出した
(※丸腰の黒人高校生を射殺したヒスパニック系自警団員のジマーマンを暗殺するため)
俺はリアルなギャングスタに近づいた
それが彼女がクリップ(ストリートギャングの巨大組織)を選んだ理由
彼女は俺をクリスコと呼ぶ、だから俺は飛び跳ねる
(※クリスコはスケートボーダーのクリス・コールと発音が似ている植物油の名前)
(※スケートボードで飛び跳ねるとフライパンで油が飛び跳ねることを掛けている)
貧困から抜け出したら、誰も俺には何も言えねえ
ドラッグを売ってた時は(ストリート・チルドレンならぬ)ストリート金持ちだったぜ
[Hook]