1983年の今日(7月9日)、1位を獲得した The Police(ポリス)の “Every Breath You Take”(邦題:「見つめていたい」) を解説・和訳しました。
恋に破れた嫉妬深い男のことが歌われてるもののラブソングと誤解された曲で、オーケストラが取り入れられているポップ・ロック。
8週連続1位を獲得してこの年の年間1位、そしてグラミーでは最優秀楽曲賞に輝いたこの名曲は、離婚直後のスティングが30分ほどで書き上げたそうで、本人は、当時問題になったレーガン大統領の「悪の帝国(evil empire)」発言を引用して『嫉妬と監視、それに所有について書いたちょっと不快な曲、と言うより悪の曲(evil song)』と語っています。
にもかかわらず、世間ではラブソングと解釈され、結婚式に使う人までいたことについては驚いたようで『(そう解釈されることに全く気が付かなかった)自分に腹が立って笑ってしまった』とコメントしており、後に『”If You Love Somebody Set Them Free”(誰かを愛したらその人を自由にしてあげなさい)を書くはめになった』そうです。
楽曲的には何と言ってもアンディ・サマーズのギターのリフが特徴的ですが、これは作曲家のバルトーク・ベーラの音楽からヒントを得たものだそうで、小林克也氏は『アンディ・サマーズ、これ殊勲賞ですね。』と絶賛しています。
また、80年代最高のビデオ監督と言われている元10CCのケヴィン・ゴドレイとロル・クレームによって手がけられた白黒ビデオは、ストーカーがじっと見つめているという曲の内容とマッチするように、コントラバスを弾きながら怒っているような表情を浮かべているスティングのアップを多用したそうで、MTVおよびローリング・ストーン誌ではこの年のベストビデオに選ばれています。
ちなみに、この曲はパフ・ダディの “I’ll Be Missing You” でサンプリングされていることでも有名ですが、おかげで大金が舞い込んだスティングは『子供たちを大学に通わせることができた』と喜んだそうです。
【リンク】
当時(1983/07/09)のチャート
ポリスのヒット曲
【和訳】
[Verse 1]
君が息をするたび
行動を起こすたび
束縛から解放されるたび
歩みを進める時も
君から目を離さない
[Verse 2]
来る日も 来る日も
君が何か言う時も
ゲームをするたび
夜を過ごすたびに
君から目を離さない
[Hook]
わからないのかい
君は僕のものだ
僕の哀れな心は痛む
君が歩みを進めるたびに
[Verse 3]
君が行動を起こすたび
誓いを破るたびに
作り笑いをした時も
権利を主張するたびに
君から目を離さない
[Bridge]
君がいなくなって
途方に暮れてる
夢に見るのは君の顔ばかり
君の代わりなんてどこにもいない
君なしではどうしていいかわからない
これ以上 悲しませないで
[Instrument]
[Hook]
[Verse 3]
[Outro]
君が行動を起こすたび
君が歩みを進めるたびに
君から目を離さない
君から目を離さない
君から目を離さない
君から目を離さない
コメント
結構ありますよね。
ラブソングじゃないのにラブソングと思われる曲って。
この曲もそうですが。
ホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」しかり。
ダリル・ホール&ジョン・オーツの「Kiss On My List」しかり。
マルーン5の “Makes Me Wonder” みたいに「偽装」しているのも含めて結構あると思います。
ただ、私の印象ではこの曲の誤解のされ方は際立っているような感じがします。