Lil Nas X(リル・ナズ・X) feat. Billy Ray Cyrus(ビリー・レイ・サイラス) の “Old Town Road” を解説・和訳しました。
快楽主義や物質主義の生活に満足できずカウボーイ・ライフを送るという曲で、ローランドTR-808(シンセサイザー)とバンジョーのサウンドが特徴的なカントリー・トラップ。
カントリー・チャートから外されたことに端を発し、人種差別問題にまで発展して物議を醸したこの曲は、カウボーイに扮してダンス等を披露する「イヤッホー・チャレンジ」(イヤッホーはカウボーイの叫び声)が “TikTok”(動画共有アプリ)で流行したことがきっかけとなり、週間ストリーミング数では1億回超えを連発(歴代のトップ10は4位と7位を除きすべてこの曲)、週間セールスでも歴代2位となるなど、ビルボード史上まれに見る圧倒的な強さで1位を続ける大ヒットとなっています。
週間ストリーミング数ランキング
1位:1億4,300万回(2019/04/20)”Old Town Road”
2位:1億3,070万回(2019/06/01)”Old Town Road”
3位:1億2,520万回(2019/04/27)”Old Town Road”
4位:1億1,620万回(2018/06/28)”In My Feelings”(ドレイク)
5位:1億1,530万回(2019/06/08)”Old Town Road”
6位:1億1,440万回(2019/05/04)”Old Town Road”
7位:1億 620万回(2018/08/04)”In My Feelings”(ドレイク)
8位:1億 410万回(2019/05/18)”Old Town Road”
9位:1億 400万回(2019/05/11)”Old Town Road”
10位:1億 310万回(2019/05/25)”Old Town Road”
一方、この曲がカントリー・チャートから外された際に『お前は何か凄いことをやってるってことだ。アウトローだけが追放される。同志を歓迎だ!』というエールを送ったことがコラボのきっかけというビリー・レイ・サイラスにとっては、ルイ・アームストロングの62歳に次ぐ57歳にして初の1位獲得、そして2013年に “Wrecking Ball” で1位を獲得している娘のマイリー・サイラスと親子そろっての1位獲得となっています。
歌詞の内容としては、ヴァース1は「すべての荷物を積んで出発すること」、ヴァース2は「すべてがうまくいく道を進んでいたこと」が歌われており、フックの『誰も俺には何も言えない』というフレーズについては、音楽をやめて大学へ戻ることを望んでいた「両親への軽いジャブ」の意味も込められている、とリル・ナズ・X本人が語っています。
また、メジャー・レイザーのディプロなど有名アーティストやコメディアンがカメオ出演しているビデオは、リル・ナズ・Xが西部開拓時代から現代へタイムスリップするという内容になっており、再生回数はかなり早いペースで(1億回は半月足らずで突破)増えています。
【リンク】
リル・ナズ・Xの全ヒット曲
【解説・和訳】 INDUSTRY BABY / リル・ナズ・X & ジャック・ハーロウ
【和訳】
[Refrain: Billy Ray Cyrus]
Yeah, I’m gonna take my horse to the old town road
I’m gonna ride ‘til I can’t no more
I’m gonna take my horse to the old town road
I’m gonna ride ‘til I can’t no more
(Kio, Kio)
馬を連れ出して田舎道を行けるところまで行く
馬を連れ出して田舎道を行けるところまで行く
[Verse 1]
I got the horses in the back
Horse tack is attached
Hat is matte black
Got the boots that’s black to match
Ridin’ on a horse, ha
You can whip your Porsche
I been in the valley
You ain’t been up off that porch, now
馬を数頭手に入れた
馬具付きで
帽子はマット・ブラック(※)
(※ルイ・ヴィトンのカウボーイ・ハット)
ブーツもおそろい
(俺は)馬に乗る
お前は(馬がエンブレムになっている)ポルシェ(Porsche)に乗ればいい
俺は谷底(※)にいたが
(※俺がどん底のとき=大学時代の意味。リル・ナズ・X本人による説明)
お前はそこにはいなかった(※)
(※PorscheとPorchを掛けつつ、心底話しができる友達はいなかったという意味。リル・ナズ・X本人による説明)
そして、今
[Hook]
Can’t nobody tell me nothin’
You can’t tell me nothin’
Can’t nobody tell me nothin’
You can’t tell me nothin’
誰も俺には何も言えない
お前は俺に何も言えない
誰も俺には何も言えない
お前は俺に何も言えない
[Verse 2]
Ridin’ on a tractor
Lean all in my bladder
Cheated on my baby
You can go and ask her
My life is a movie
Bull ridin’ and boobies
Cowboy hat from Gucci
Wrangler on my booty
(俺は)トラクターに乗る(※)
(※馬からトラクターに乗り換えた=生活が良くなったという意味)
膀胱はリーン(※)で一杯
(※リーンは咳止めシロップにソーダと鎮痛剤を混ぜたドラッグの一種)
浮気もした
彼女に聞けばわかる
俺の人生は映画だ
ブルライディング・アンド・ブービーズ(※)みたいな
(※ブルライディング=「騎乗位」でブービーズ=「おっぱい」を揺らすシーン満載のポルノ映画のタイトル)
グッチのカウボーイ・ハットに
ケツにはラングラー(のマーク)(※)
(※ラングラーのジーンズをはいているということ)
[Hook]
[Refrain]
[Verse 3: Billy Ray Cyrus]
Hat down, cross town, livin’ like a rockstar
Spent a lot of money on my brand new guitar
Baby’s got a habit: diamond rings and Fendi sports bras
Ridin’ down Rodeo in my Maserati sports car
Got no stress, I’ve been through all that
I’m like a Marlboro Man so I kick on back
Wish I could roll on back to that old town road
I wanna ride ‘til I can’t no more
帽子を脱いで、町を出て、ロックスターのような暮らしをする
新品のギターに多くの金を使う
彼女はダイヤの指輪とフェンディのスポーツ・ブラの常習者
俺のマセラティでロデオ(※)に乗り付ける
(※カウボーイには付きものロデオとビバリーヒルズの有名なロデオ・ドライブ通りを掛けている)
ストレスはない すべて経験してきた
俺はマルボロ・マン(※)みたいに
(※マルボロ=タバコのCMに出てくるカウボーイ・ハットを被った男)
リラックスできる
田舎道に戻れたなら…
俺は行けるところまで行きたい
[Outro: Lil Nas X & Billy Ray Cyrus]
Yeah, I’m gonna take my horse to the old town road
I’m gonna ride ‘til I can’t no more
I’m gonna take my horse to the old town road
I’m gonna ride ‘til I can’t no more
馬を連れ出して田舎道を行けるところまで行く
馬を連れ出して田舎道を行けるところまで行く